大切な人に治療を勧めたいのですが、どうすればいいでしょうか。
これは本人にとってもセラピストにとっても難解な問題です。このような依頼を受ける際、すでに本人の受診に対する希望と問題意識がないことは明らかです。うつ症状を表している人は自分の家を出て外に出る力はほとんど無く、失望している人は少なくありません。また不安症を抱えている人にとって、家から離れ、カウンセリングを受けるという考え自体が、不安感を悪化させます。上記の問題を抱えている人の多く、自分の弱みを受け入れることが困難で、「自分はなんとも無い、ちょっと気分が低迷しているだけですぐにこの状況は変わるだろう」と周囲に主張します。
時には、依頼人が問題のある本人に、自分が「セラピストに会いに行きそこから電話をかける」と言うと、その本人はセラピストと電話上で話すことに応じてもらえる場合もあります。このように、本人がすでにセラピストと話すことを拒否していても、依頼人がセラピストのオフィスから連絡することが効果的になりうる場合もあります。場合によっては、すでに家出をした夫または妻が、病状が見受けられる本人に対し、助けが必要と有効的に説得するケースもありますが、これは巧妙な計画であるため、リスクの出る可能性を考慮しなければなりません。
最終的には、苦しんでいる本人がすぐにでも自分または他人に危害を与えそうな場合以外は、誰もが治療を拒否することができ、この、人権は尊重されなければなりません。もし症状がそこまで重度でなければ、病状が悪化するにつれ、治療を受け入れる可能性が高くなる場合もあります。
最後のひねりとして、時より、病状が疑われる本人について、不平を訴えている依頼人自身が実際助けを必要としていて、心配されている本人は、ただ不平を訴えている依頼人の問題を、自分の病の位置と置き換え、自己防衛手段としてそれを投影している場合もあります。